弾腿は、一般的に十路あるので、十路弾腿、あるいは十トウ(足+堂)弾腿と呼ばれている。 

十トウ(足+堂)弾腿は、武術の練習に最初に学ぶとされている馬歩、弓歩、歇歩などの基本歩型を習得するのに効率が良いとされ、さらに下盤の功夫を練る站トウ(木+春)功の効果もあるとされているので、武術の基礎を習得するのにとても役に立っており、多くの門派が練習に採用されており、古くから多くの名師が重視している。

通備門では、かつて神槍・李書文は彼の八極拳の師・黄四海の紹介により黄林彪から、そして「大刀王五」で有名な王正誼は李鳳崗に師事する前に肖和成から通備弾腿を伝授されて、のちに大成した。

通備弾腿は、その他の門派で練習されている弾腿とは違い、基本歩型や、弾腿(相手の急所へ下からするどく弾くように蹴る蹴り)といった腿法や基本突きといった練習だけでなく、劈掛拳や八極拳、翻子拳といった通備門の重要拳種のエッセンスも組み込まれており、さらには点子腿などといった通備腿法も加えられ、練習できるようになっている。

通備十トウ(足+堂)弾腿の動作の順番や構成については、他派で練習されている弾腿とはさほど大きな違いは見られないが、最初の動作に通備拳法で重要な『単劈手』という動作をし、独自の肩と腰胯の功法も兼ねておこない、身法練習と合わせて練習していくのが他派とは違うところである。

こうした『単劈手』などといった通備劈掛拳の基本動作を採り入れて練習することにより、武術や運動において特に重要な肩、腰胯の間接の動きが霊活にスムーズに動ける身体を作ることができ、八極拳や劈掛拳などといった武術のあらゆる運動や動作において上達が早まり、強い打撃を生み出すようにしていくのだ。よって、先述した著名武術家たちが基礎を修得するのに通備十トウ(足+堂)弾腿を採り入れて練習してきたのはおわかりであろう。

こちらの記事は、馬賢達老師が1980年代に、黒龍江出版社の<当代体育>という雑誌に執筆されて、連載された時のものである。学習の参考にしていただきたい。

第一十トウ(足+堂)順歩似単鞭

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