1985年5月、国家体育運動委員会の李夢華主席の招待によりプロボクシング元ヘビー級チャンピオン、モハメド・アリ氏が北京、西安、上海を訪れた。

西安を訪れた際、陝西体育総会はアリ氏の歓迎パーティーを催し、陝西体育賓館に一行を招待した。

馬賢達老師は体育総会の副主席であり招待者の一人としてパーティーに出席したが、その席で、こちらは中国で有名な武術家ですと、アリ氏に紹介された。

武術と聞いて興味を示したアリ氏はふざけ半分に馬賢達老師の顔面すれすれに何度もジャブを飛ばした。

初めは笑って好きにさせておいた馬賢達老師であったが、アリ氏があまりに執拗にジャブを繰り返すので、お返しとばかりにアリ氏の鼻先に拳を突き出した。

するとアリ氏の表情が変わり、馬賢達老師に向かって、もう一度、本格的にやってみようと言い出した。

馬賢達老師はアリ氏と向かい合って立ち、アリ氏が構えるのを見はからってから、鼻先へ猛烈なスピードで翻子拳の連珠砲を繰り出し、怒涛の連続突きを放った。連珠砲の、常識を超えた速さを目の当たりにしたアリ氏は全く身動き出来ず硬直状態であった。

「すごい!すばらしい!これが中国の武術なのか!」、アリ氏は賞賛の言葉を何度も繰り返し、そして「いつか再び西安に来て貴方から武術を学びたい」と語った。

これは、元世界チャンピオン、モハメド・アリ氏 四十二歳、馬賢達老師 五十三歳の日の出来事である。

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